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治験事業ってナニ・・・?
今回は治験管理課の桶野が担当させていただきます。
ついこの間まで薬局勤務していた治験初心者なのですが、わかる範囲で治験のお話をしたいと思います[:女:]
SMOって知っていますか?CRCはどうでしょう?これでピンときたっ!という方は医療関係者ですね???
ナカジマ薬局ホームページのSMO事業のところにもありますが、SMOでは新しい薬が世に出るお手伝いをします。
・・・とはいっても、自分たちで新しい薬を作っているわけではありません。製薬企業が新しく発見したお薬候補、外国で使われていて日本でこれから使いたい薬、これを日本で使えるようにするための試験をお手伝いします。
では、どうやって薬は人に使えるようになるのでしょうか?
まずはものすごーーーくたくさんの候補のなかから効果がありそうなモノを選びます。
これは基礎研究といわれ、だいたい2~3年かかります。
それを使って動物で安全性と効果をたしかめます。
薬として使えないものはふるい落とされて、薬になりそうなものがのこります。
いろいろな量で試して安全性を確認します。
病気の動物を使って薬としての効果も確認します
ここまでは前臨床試験といわれ3~5年かかります。
おっこれは使える!となったら、今度はヒトです。
最後にはどうしてもヒトで試してみないと本当にヒトで使えるのかわからないのです。
最初から病気のヒトに使うのではなく、健康な人から試験開始です。ここからが治験と呼ばれます。
その中でも健康なヒトで行うのは第Ⅰ相試験と呼ばれます。
動物では安全って言われても、ヒトは初めてかぁ・・・。やはり心配もありますよね[:あせあせ:]
そこで、国で定めたルールがあります。「薬事法」という法律と「GCP」(Good Clinical Practice、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)、これを守って治験を行わなければなりません!
ここには・・・
患者さまが参加するかしないかは自由ですよ。やめたい時はいつでもやめられますよ。何かあったときはすぐに病院で対応できないとだめですよ。治験審査委員会を作って意見を聞かないとだめですよ。
・・・などなど様々なことが決められています[:危険:]
では、そのルールを守った上で、健康なボランティアの方にご協力いただいて主に安全性の確認です。
薬の候補を飲んで決まった時間に採血します。これはとっても貴重な情報源になるんです[:ぴかぴか:]
薬を飲んで、吸収~血液中へ~便や尿として排泄というヒトでの薬の動き方。
実際にお薬が発売された時、「添付文書」といわれる医療関係者向けの詳しい薬の説明書に載るんです。
医師はこれを参考にしてお薬の処方を決めたり、説明したりします。薬剤師もこれを参考にして説明しています[:ひらめき:]
さぁ今度はヒトの病気に効果があるかです。
ここから先は病院で行われます[:病院:]
複数の病気をもっている人だと、他の病気の影響も考えられるので、まずは1つの病気だけもっている人、高血圧の薬なら高血圧の人(その他に糖尿病とか、コレステロールが高いだとかがない人)で安全性と効果を確かめます。
ここまでが第Ⅱ相試験。
それが終わったら、次は複数の病気をもっている人も含めて効果を確かめます。
第Ⅱ相試験より多くの方に協力してもらうので、実際の治療に近い状態で効果が確かめられます。これが第Ⅲ相試験です。
ここまで終わるとデータがだいぶ集まります[:読書:]
いよいよ薬として使いたいですと厚生労働省に申請できるところまできました。
厚生労働省が集まったデータをみて薬として使っていいよと許可をくれると、保険でいろんな人が使えるようになります。
でもデータはまだまだ集めていきます。ここが第Ⅳ相試験。
新しい情報が出てきたら医療機関にお知らせが届きます。日々最新の情報に更新されていくわけです。
さて治験のながれをお話しましたが、病院で行われる部分をお手伝いするのがSMOです。
治験ではきちんと記録がのこるよう文書でやりとりします。これは先ほどでてきたルールで決められていることです。
しかし全て文書でといっても、病院で診療の合間にたくさんの文書を作るのは大変ですよね?その分診察に時間をかけたいですよね。
そこで文書作成や保管のお手伝いをするのが治験事務局、SMOの仕事のひとつなのです。
これが私がいる部門のお仕事。治験をしたことがある病院は準備がある程度整っていますが、まったく初めてという病院ではいろいろ事前準備も必要です。こういう順序で、こういう決まりにj沿って治験をしますよと書いてある「手順書」というのが病院毎に必要です。病院でつくれる時はそれを使うのですが、時間的に難しい・・・なんて時は、こういうのはどうでしょう?と雛形を見ていただいて、個々の病院で使いやすいように変更します。治験の途中で必要な文書類の雛形も作ったりしています。この手順書や文書に間違い(誤字・脱字でも)があると、治験審査委員会を通さないとなりません。そのため何人かで何度も見直します。目を皿のようにして見ているハズなのですが、見るたび間違い発見!!皿ぐあいが足りないんですね・・・。精進します(>△<)
それから治験に参加するのは自分で参加したいなと思っていて、その治験の参加条件にあった人が参加できます。嫌だなぁって思うのに無理やり参加させられることはありません。
自分の自由な意思で、誰からも強要されることなく、自分で参加するかどうか決めます
【 黒板 】\ __○ノ ハイ、ココ重要!!
でも難しいことは自分では判断できないんじゃない???
そのとおりです。医療関係者向けの説明では判断が難しいと思います。
そこで、治験審査委員会の登場です。
治験で使う患者さま向け文書はここの承認が必要です。
この委員会は医師、薬剤師、看護士など医療関係者はもちろんいますが、専門知識のない人も必ず入っていないといけないという決まりがあります。
治験の説明文はここでいいよと承認をもらわないと使えません。
医療関係者以外の人がいるので、その人が読んでわかるものではないとダメなわけです。
これで説明文はわかりやすくなりましたね。
それから当然ですが医師から説明を受けます。
では病院に行ったとき説明されたことを全て理解して、覚えて帰ってますか?
家に帰るとなんか言ってた気がするけど・・・なんだっけ??ってなりませんか?
治験ではそうならないよう、説明を受けます[:鉛筆2:]
でもその時わかったつもりでも、あとであれっ???てなりますよね
そこでCRCの出番です。これもSMOの仕事のひとつ。
医師から説明を受けるとき一緒にいて、後でわからないところ、気になるところなどを確認したり説明したりします。
治験を行っている間、疑問や不安なことがある時は相談に乗ってくれます。通院日のスケジュールの調整をしたり、注意点なども説明します。こういったサポートをしていくのがCRCです。
もっと詳しくは本職の方が別の機会にブログに書いてくれるかな・・・(;∧_∧)
ここまで治験の流れを書いてきましたが、治験に参加するメリットって何でしょう。
効果も安全もはっきりしないんだったら、治験は他の誰かにやってもらって、自分はいろいろわかってから薬使いたいなぁ・・・。そう思うのもわかります。
しかし、もっと病気を改善したい、生活に影響があるけどこれ以上治療しようがない、現段階ではいい治療法がないという病気も残念ながらまだまだたくさんあるのです。
ヒトでの治験で3~7年、その後の新薬申請・承認に2~3年かかるんです。
薬として使える可能性が高いものがあるのに最低でも5年くらいは待たないとだめなわけです。
日々病気と闘っている中、症状の改善しない5年は長いと思いませんか?
症状が悪化していくのを手をこまねいて待っているだけの毎日はどうですか?
そこで治験です。
治験に参加することで、いち早く新しい治療を受けられる、症状が改善するかもしれないという、とても大きなメリットがあるのです。
薬は私たちの健康には欠かせません。新しい薬の誕生で一昔前には不治の病といわれた癌にも次々と有効な新薬が生まれています。胃潰瘍ではほとんど手術をしなくてもすむようになりました。しかし、まだまだ治療の難しい病気が少なくありません。これらの病気に対して、良質な薬を作ろうと世界中で薬の研究開発が日夜続いています[:見る:]
新しい薬の開発は、治療法のない病気についてばかりではありません。薬は働かせたい作用(主作用)以外の作用(副作用)が出てしまうことがあります。たとえば鼻水を抑える薬であれば、鼻水を抑えるというのが主作用、一緒に出る眠気が副作用です。また薬は使い方を誤れば毒にもなります。その意味でも、100%安全な薬はあり得ませんが、こういった副作用を減らしたり、できるだけ安全な薬を見つけることも、新しい薬を開発する重要な目標になっています。
余談になりますが、副作用=悪いものと思っていませんか?基本的には主作用のオマケなので確かに必要のない作用の方が多いのは事実です。でも良い方に働くこともあるんですよ。例えば眠気という副作用であれば車の運転をするという方にとっては好ましくない作用、ない方がよいものですが、熱でなかなか寝付けない時や安静にしていた方がいい時にはこの眠気もよい作用、必要な作用ですよね。薬によっては副作用を利用して、薬の量を減らして使ったりすることもあるんですよ。
しかし、研究者や医師だけでは、新しい薬を世に送り出すことはできません。薬が世の中に出るためには、どうしても治験が必要になります。実験室で有効性が認められても、人での様々なデータの裏付けが重要で、それなしではどんな新薬も、薬として世に誕生することはできません。より効果のある薬や、より副作用の少ない薬、これまで治療の難しかった病気を克服するための薬は、治験に参加してくださる患者さまの善意があって初めて生まれます。いま使われている薬も、多くの人たちの協力によって誕生した、言わば「先人からの贈り物」です。治験に参加したくても参加条件があわなければ薬が発売されるまで待たなければなりません。新しい薬を待ち望んでいる多くの方がいらっしゃいます。治験をよく理解していただき、最先端の医療を受ける機会を得ることや、あるいは新しい薬を次の世代に贈るために、ひとりでも多くの方に治験へ参加して頂けたらと思います[:赤い旗:]
このブログを読んで少しでもご理解とご協力をいただければ幸いです。
ながーくなってしまいましたが、ここまでお付合いありがとうございました。
気になることはメールでもお問い合わせOKですよ~(*^∇^*)/