患者様の人生観、生き方に
寄り添う診療のために
Interview - Takahiro Tsuchikawa
最大の理由は、患者様の生活の場である自宅を訪れ、「生活を丸ごと医療として引き受ける」という訪問診療のあり方に強い関心を抱いたことです。病院という限定された空間ではなく、生活の場そのものに医療が入り込むことで、患者さんをより包括的に支えたいと考えるようになりました。
また、大学病院勤務時代に出張先の函館で、タクシーの車窓から、おそらくは病院へ向かうであろう車椅子に乗ったお年寄りが道路中央部分の安全地帯へ上るのに大変苦労している様子を目にしました。その際、通りがかっただけで手を差し伸べることができなかったことが、今も強い心残りとして残っています。この出来事は、それまでの外科医としてのキャリアを振り返る大きな転機となりました。というのも、外科医として手術や治療を完結させていても、それは病室や外来で目にする「患者様の生活の一部」に過ぎなかったのだと気づいたのです。患者様の生活環境や家族関係、日々の暮らしぶりといった背景にまで踏み込んだ、その延長線上にこそ病気や治療がある――そう考えるようになりました。こうした背景に深く関わる仕事を「第二の人生」として築いていきたいと思ったことが、開業を決意する大きな原動力となりました。
当初は特定のエリアに絞り込んでいたわけではなく、幅広い地域を候補として検討していました。そうした中で、ナカジマ薬局さんからリサーチやマーケティング、物件探しに至るまで、多角的なアドバイスを受ける機会がありました。その積み重ねの中で、最終的にご縁のあった「東区」での開業を決断しました。
立地選定において特に重視したのは、職員が通勤しやすい環境であることです。公共交通機関の利便性、とりわけ駅からの近さを重要視した結果、実際にスタッフ募集を行った際には「駅近の新規開設クリニック」という点に関心が集まり、早い段階で多くの応募をいただくことができました。
一方で、利便性の高い立地を選んだことで、駐車場の確保には苦労しています。現在は往診車やスタッフの通勤用として7〜8台分の駐車スペースが必要となり、近隣の月極駐車場を借りるなどして、分散して確保しているのが実情です。
ナカジマ薬局さんの本社を訪れた際、入口に掲げられていた「患者様中心主義」という創業理念が目に留まりました。その言葉からは、理念を言葉だけではなく、形にして地域にしっかりと根付かせていこうとする、真摯な姿勢が強く伝わってきました。
ナカジマ薬局さんであれば、本音で相談しながら開業を進められる――そうした確信を持つことができたことが、ナカジマ薬局さんと開業に向けて具体的に進めていこうという決断の大きな後押しとなりました。
やはり融資を受けるうえで重要となる、10年先を見据えた事業計画書の準備です。また、医師としてこれまであまり関わってこなかった「経営スキル」そのものに対しても、大きな不安を感じていました。
しかし、開業支援を受ける中で、そうした不安一つひとつに親身になって相談に乗っていただき、その点についても安心して準備を進めることができました。
さらに、開業当初は、医薬品がどのような流れで供給され、どのように準備されるのかといった全体像を俯瞰的に把握できていなかった部分もありましたが、その都度適切にご説明・ご紹介いただき、不安を解消することができました。
許認可に必要な書類の作成や提出と、職員採用が特に大変でした。届出については開業前に想定していた以上に許認可申請や届け出事項が多く、一人ではまったく困難でした。採用については職員の求人面接に関わる全般をお手伝い頂けた事で、医師の自分だけではなく、看護、事務、経理、労務などチームを作るにあたって、いろいろな選択肢を選ばせて頂けてとてもスムーズに進める事が出来ました。
開業時期から逆算した明確なスケジュールを最初にご提示していただけた事がとても有難かったです。そのレールに乗って、開業までたどり着く事が出来ました。そして、沢山のクリニック開業の成功事例を見せていただき、ご提案をして頂けた事が1番依頼して良かったと思うところです。
クリニック名にも想いを込めている通り、病気によって不安や気持ちが沈みがちな患者様に対し、「訪問した際には一回一回の診療の中で、たとえ一度でも笑顔になっていただく」ことを大切にしています。患者様はもちろん、ご家族や地域の方々とのコミュニケーションを重視し、信頼関係を丁寧に築いていくことを心がけています。
また、開業2年目となる4月からのセカンドステージに向けて、クリニックの体制強化を進めています。既存スタッフに加え、ドライバー、看護師、MSW(医療ソーシャルワーカー)、専門のコンサルタントにも新たにチームに加わって頂き、更なる患者様を受け入れられる準備を進めています。
今後は法人化も視野に入れながら、無理のない形で段階的に規模を拡大し、地域に必要とされ続けるクリニックを目指していきたいと考えています。
現在は有難いことに段々とご紹介頂く事も増え、患者様が増えてきている状況になりましたが、今後はそこに甘んじることなく、施設やケアマネジャーへのアプローチをさらに強化していく考えです。より多くの方に関わり、地域を笑顔でいっぱいにしていきたいと思っています(笑)。
現在はとても多くの患者様と関わらせて頂いておりますが、決して開業当初から順調だったわけではありません。開業時には約4,000枚ものチラシを配布し、病院へも足を運びましたが、最初の1か月は患者様がお一人、お二人という状況でした。その後も自ら名刺を持って直接ご挨拶に伺い、日々の診療を積み重ねる中で、少しずつ、着実にご紹介が広がっていきました。
1年目は、月に20名程度ずつ患者さんが増えていくペースでしたが、その一方で、診療の方向性についても悩みがありました。安定した慢性期の患者様を中心にするのか、それともホスピスやがん患者様を中心にするのか。私自身の専門が「がん」であることから、決して効率優先ではなくお一人お一人の患者様のお悩みにじっくりと向かい合い寄り添っていく方針としています。
経営の視点で考えると難しいと感じる課題も多々ありますが、クリニックの継続性・計画性を強く意識しています。
開業当初は訪問スケジュールがまだ十分に埋まっていなかったため、空き時間を活用して、手術相談や血液検査結果の説明などのオンライン診療を行っていました。一方で、開業から約8か月間は医師一人で24時間365日の対応を続けており、休診時でもお看取りに対応することもあり、訪問診療クリニックとして非常に多忙な日々を送っていました。
その後、半年ほどで徐々に軌道に乗り訪問診療の患者様も増え、現在ではオンライン診療を一部制限するほどになりました。同時に医師の複数体制への移行や、運営を支えるスタッフの増員も進め診療体制も整ってきました。
更に現在は、毎朝自宅からZoomでミーティングを行い、iPadで診療計画を共有するなど、ICTを活用した効率的な連携体制を構築することができています。
正直な感想として、ナカジマ薬局さんは、対応のクオリティが非常に高いと感じています。接遇の良さはもちろんのこと、迅速さや正確さに加え、患者様の服薬コンプライアンスや副作用に関する丁寧な聞き取り、さらには専門的な立場からの提案まで行ってくださいます。その姿勢からは高い専門性と信頼感を強く感じていますし、そこが長期的に連携していきたいと感じる理由です。
実際、がん患者様の診療を進める中で、より安心して任せられる体制として、ナカジマ薬局さんにお願いをしたケースもあります。協業のパートナーとして、また専門職として、薬理的な視点からも積極的に意見を出し、診療に深く関わってくださる存在で、なくてはならないパートナーです。良い意味で正の歯車が回っていると実感しています。
現在、当院の患者さんの約3分の1をがん患者様が占めていますが、夜間・休日を含めた麻薬や点滴の調合・配送、持続麻薬注射への対応などについても、ナカジマ薬局さんに全面的にご協力いただいています。こうした体制があるからこそ、日々の診療に安心感が生まれ、クリニック運営の安定にもつながっています。
振り返ってみると、開業支援の段階から苦労を共にし、汗をかきながら築いてきた信頼関係があったからこそ、現在の診療体制が成り立っているのだと強く感じています。
これまで30年にわたって積み重ねてきた病院勤務や専門分野での経験は、結果として訪問診療の現場において大きな強みとなっています。未知の領域に踏み出すことへの不安は誰しも感じるものですが、これまでのキャリアで培ってきた知識やスキルを訪問診療へ転換し、活かせる場面は想像以上に多くあります。自信を持って臨むことが大切だと感じています。
開業に対する不安を一人で抱え込むのではなく、信頼できるパートナーのサポートを受けることが、自身の理想とする医療を実現するための近道になります。実際に、豊富な成功事例を持つナカジマ薬局さんの開業支援を受けることで、経営スキルや資金調達に対する不安が解消され、安心して開業準備を進めることができました。
また、訪問診療クリニックの開業を検討する際、多くの医師が不安に感じるのが24時間365日の対応だと思います。志を同じくする仲間や、信頼できるパートナーと協力し合い、緊急時にも互いにカバーできる「顔の見える」連携体制を構築していくことが、これからの在宅医療には欠かせないと考えています。
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担当者からのコメント
開業時期から逆算した計画を出発点に、先生と一緒に開業までの準備を進めてまいりました。 資金計画やスタッフ採用、各種申請手続きなど、先生が不安を感じられやすい部分についても都度共有し、 安心して準備を進めていただけるよう努め、関係各所とも調整を重ねながら開業までの道筋を具体化いたしました。 先生の理想とする医療が地域に根付き、多くの患者様に笑顔と安心を届けていかれることと思います。 その第一歩に携わる機会をいただけたことを、大変光栄に思っております。